2012_08
29
(Wed)08:45

薬と受難

Category: 小話
「もういいわよ」
スピカはその一声で目をゆっくりと見開いた。
目の前には金髪にポニーテールの女が、燈色の瞳を覗かせる。
「……今度は何の薬を作る気なの?」
スピカは金髪の女・カーラに訊ねる。
カーラはビーカーの薬を手際よく混ぜていた。
「身体能力を更に上げる薬!」
カーラは高い声で言った。カーラは薬品開発を担当しており、隊員の戦闘をサポートする薬品を作成している。
「わたしの体を調べて何か分かった?」
スピカは台から起き上がった。
スピカは時折カーラの薬品開発に協力するために、カーラの研究室にこうして来ている。
カーラはレポートの束を持ってスピカの元に近づいた。
「結果としては、全体的に能力が上がってたわ」
カーラは上機嫌で言った。彼女の顔を見る限り、満足のいく結果だったようだ。確かにカーラの薬品のお陰で闘いやすくなったのは事実である。
なので彼女がより良い薬品を開発するのには協力したいと考えている。
「はい、今日のお礼」
カーラは水色の液体が入ったカップをスピカに差し出した。
「何? これ」
スピカは指差す。
匂いがきつく、とても飲める気がしない。
「飲んでからのお楽しみよ」
カーラは片目を閉じた。
直感的に嫌な予感がした。カーラがお礼として出す薬を飲んで、必ずと言って良いほど散々な目にあっている。
具体的には髪が足元まで伸びたり、声が変になったり、これらはまだマシだ。酷い場合、任務に赴く時になって、猛烈な頭痛に襲われた時は行動に支障が出た。
経験上、飲まない方が身のためだが、スピカの性格柄断ることはできない。
「有り難く頂くわ」
生唾を飲み込み、スピカは水色の液体を飲み干した。口内に広がる不味さに、吐き出しそうになったが、何度も唾を飲み込んで、必死にこらえた。

その後、スピカは薬の影響か一週間ほど悪夢にうなされたとか……



久々にスピカの小話を
書きました。